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納骨堂の選び方 多様化する形式や費用の相場は? 注意点などを解説 

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近年はお墓に対する価値観の変化や多様化で、従来からの「先祖代々の墓」という概念にとらわれることなく、自分の生活スタイルに合ったお墓を求める人が増えてきました。

そのなかで、「新たなお墓の形」として注目を集めているのが「納骨堂」です。元々は遺骨を一時的に収蔵するための施設でしたが、今では恒久的に遺骨を祭祀する施設としての役割も担うことが多くなりました。今回は、注目を集める「納骨堂」の特徴や多様化する形式、費用の相場や注意点について紹介します。

納骨堂の定義と特徴

納骨堂とは、個人、夫婦といったさまざまな単位でご遺骨を収蔵することができる「納骨スペース」のことをさす言葉です。「骨壺でそのまま収蔵する」点と、「ひとつの建物の中にたくさんの納骨スペースを備えている」点が、従来のお墓との大きな違いです。

実は、「納骨堂」は昭和初期からあった形式です。以前は、お墓を建てるまでお寺の境内で一時的にご遺骨を預かる建物(場所)という意味でした。

つまり、お墓を建てるまでの臨時的な保管スペース的なものが、最近はお墓の代わりとして利用する施設として認知されるようになりました。

これは、核家族化、少子高齢化、未婚化など影響でお墓の承継者不足に悩む利用者が増えたことが主な原因です。継承を前提としない永代供養のお墓ですが、決められた期間(13回忌まで、33回忌までなどの安置期間)の終了後は永代供養墓などに合祀するのが一般的です。

また、同じ敷地内にたくさんの遺骨を納められるため、通常のお墓を買うより料金が安く設定されています。区画単位で購入し、「個人用」「夫婦用」「家族用」など、納める遺骨の数によって料金は異なります。

近年は都市部にもビル型納骨堂が建設され、大型のものでは複数階層からなるものも多く、納骨方法は「ロッカー式」「自動搬送式」など多種多様です。従来のお墓に対し、「マンション」タイプのお墓といえるかもしれません。

納骨堂が増えている理由・選ばれる理由

先ずは、納骨堂は都心部で増加傾向にあります。これは、墓地用地が不足しているという物理的な事情です。

一方、利用者側の事情としては、少子化や未婚化などで、お墓の承継者がおらず、先祖代々の墓がいずれは無縁墓になってしまうことを心配するケースや、子どもや子孫に面倒や経済的な負担をかけないよう、手入れが簡単な納骨堂を選ぶケースが多いようです。

また、元々あったお墓を撤去する「墓じまい」をして、管理しやすく交通の便が良い納骨堂に遺骨を「改葬」する人も少なくありません。

納骨堂のタイプ

納骨堂には、さまざまな種類があります。まず、「仏壇型」という仏壇タイプの納骨壇が横並びになっている納骨堂です。「霊廟(れいびょう)型」とも呼ばれます。価格は割高ですが、位牌を安置する仏壇が上段に置かれ、遺骨は下段に納めます、遺影やお花を飾ることもでき、自宅には仏壇が置けないという方におすすめです。

 例:正善寺 調布霊廟(東京都調布市)  

2016年オープンした 調布駅から徒歩約10分の納骨堂「調布霊廟」。ご家族から、お一人、ご夫婦まで利用できる。管理費を前納も可能なので、お墓の継承者がいない方も無縁仏になる心配がありません。

 

一方、「ロッカー型」と呼ばれるロッカーのように個別のスペースが仕切られ、棚に骨壺や位牌等を安置するタイプです。参拝時は納骨壇を開いてお参りするものと、納骨壇の前に別に参拝用のご本尊が用意されたタイプのものがあります。ただし、見た目が若干コインロッカーと似ている部分もあるため、気にされる方がいるのも事実です。

例:霊源寺納骨堂 博眞閣(東京都品川区)  

品川区の閑静な住宅街にある納骨堂。 

 

そして最近注目されているのが、「コンピューター制御型」の納骨堂です。契約時に渡されるICカードやタッチパネルを操作すると、お参りブースに位牌や骨壺を呼び出されます。厨子や墓石にセットされた状態の骨壺に向かいお参りするのが一般的です。

また、最新の技術を投入した納骨堂では、24時間いつでもお参りできるところや、スクリーンに遺影が投影されたり、故人が好きだった音楽が流れたりするものもあるようです。

例:春慶寺 えにしの苑(東京都墨田区)  

春慶寺は、5階建てのビルで浅草通りに面しており、東京スカイツリーの間近にあるお寺です。
3箇所の参拝所が設けら、設置されたパネルに会員カードを入れると遺骨が納められた木製漆塗仕上げの御堂が自動でセットされる。

 

これら以外にも、霊園のように墓石を並べる「墓石型」の納骨堂もあります。屋外ではなく、屋内にある霊園なので、雨や風、汚れなどによる影響を受けず、お花やお線香をお供えできます。

 また、価格を抑えたいという方には、お内仏の周りに位牌を立てる「位牌型」の納骨堂もあります。料金は、ロッカータイプよりさらに安くなります。遺骨は別の場所に保管されることが多いようです。

また、「合祀・合葬型」と呼ばれる納骨堂は、永代供養塔の中に骨壺を保管するもので、骨壺から焼骨を取り出し、他の人の遺骨と一緒にする埋葬されるため、最も料金を安く抑えることができます。

 

納骨堂の運営母体もさまざまです。運営母体で大別すると、お寺が運営する「寺院納骨堂」、自治体が運営する「公営納骨堂」、宗教法人・財団法人・社団法人が運営する「民営納骨堂」があります。

お寺による運営であっても、ほとんどが宗旨宗派不問です。また、納骨堂の場合は檀家になる必要はほとんどないので、当然お布施などを気にする必要はありません。公営納骨堂には人気があり、抽選になるケースも多くあります。

納骨堂の相場・費用の目安

納骨堂は一般的なお墓に比べ安価です。ですが、その種類や供養方法、規模などによって料金が異なります。

大きく分けると、「収納スペース」、「供養の方法」、「立地」、「運営者」、「設備の充実度」などの違いで料金が変わってきます。

収納スペース これは収蔵可能な遺骨が何体までなのかと関連しているので、個人用と夫婦用、家族用とでは費用が大きく異なります。

また、ロッカータイプの納骨堂などでは、同じ施設であっても棚の位置によって費用が異なる場合もあります。お参りしやすい目の高さ付近は高めの料金設定で、一番下の段や一番上の段などお参りがしづらい位置の場合は、低い価格設定になっているようです。

供養の方法 施設の管理体制や充実度、納骨時の戒名や法要の有無などにもよって違ってきます。安いと思っても、納骨時に法要などが一切ない簡素なスタイルの場合が多いようです。

・立地 やはり都心から近い施設や、駅から近くアクセスが良い施設は、郊外の施設よりも割高になります。

・運営者 予算を抑えたい場合は、自治体が運営する「公営納骨堂」があります。例えば東京都であれば都営の納骨堂などです。しかし、公営は人気があり、募集が集中するため抽選を行う施設も多いので、申し込み条件などについてはあらかじめ確認しておきましょう。

・設備の充実度 最新式の機械を使った自動搬送式の施設になると、施設の規模も大きく、設備も充実していますので個人用で80万円前後が相場のようです。有名な寺院であれば200万~300万する場合もあるようです。

一般的な相場としては、年に一回程度法要で、比較的管理体制もしっかりしている施設の場合であれば、個人用で50万円程度、家族用で100万円程度だと考えればよいでしょう。料金の中には、永代供養料と使用料、納骨費用や開眼法要料、施設によって戒名や位牌などが含まれている場合もあります。

また、管理費が別途1万円/年程度発生する場合もあります。従って、事前に必要なサービスをきちんと確認しておく必要があります。

東京都内の代表的な納骨堂

東長寺結の会納骨堂 龍樹堂

 東長寺結の会納骨堂「龍樹堂」は、400年の歴史と伝統を持つ曹洞宗の寺院が運営する施設です。丸ノ内線「四谷三丁目駅」、「新宿御苑前駅」、都営新宿線「曙橋駅」の3駅から徒歩約8分にある好立地。20年の永代供養付の納骨堂です。法要施設や休憩スペースも完備されています。 

伝燈院 麻布浄苑  

 

伝燈院 麻布浄苑は六本木ヒルズに近い元麻布にある、麻布の静寂に包まれた都市型霊園納骨堂です。使用期間は50年間で、以後は合祀供養塔に合葬され永代供養となります。室内納骨堂と屋外納骨堂(写真は屋外)があるロッカータイプの納骨堂です。

花瓶やお線香も常備しているので手ぶらで参拝できます。法要施設や、会食などで利用できる施設も完備。また、宗教に縛りはなく、どなたでも利用可能。遺骨は地上の礼拝堂に分骨して安置されるので、わざわざ地下の納骨堂に降りなくても参拝可能です。 

吾妻橋天空陵苑

吾妻橋天空陵苑は、浅草やスカイツリーに近い本所吾妻橋駅から徒歩2分の好立地にある民営の納骨堂です。建物内は完全バリアフリーで、1基35万円からの、リーズナブルな価格設定も魅力です。ICカード式の室内墓地で、お花やお香の用意もありますので、手ぶらでの参拝も可能です。 宗旨宗派を問わず申し込み可能です。

納骨堂を選ぶ際の注意点

納骨堂は一般墓地に比べて、安価で利便性が高い、基本的に屋内施設なので、雨や風といった天気の影響をうけない、冷暖房なども完備されており快適に参拝できる、掃除や、草抜きといった作業も必要ない、などの理由から人気の納骨堂ですが、選ぶ際にはいくつか注意することがあります。

まず、納骨堂には遺骨の収蔵期間があることです。例えば、13回忌、33回忌までといったように個別に遺骨を保管できる期間があらかじめ決められています。そのため期間終了時に継続するか否か判断することを求められます

もちろん、継続する場合は更新料を支払えば引き続き遺骨は保管できますが、継続手続きをしない場合は、「合葬墓」「合祀墓」と呼ばれる他の人と合同で祀られる永代供養墓に埋葬されます。こうなると、他の人の遺骨と混じってしまうため、特定人物の遺骨を取り出すことができなくなります。

合葬、合祀型の納骨堂は最初から他の人の遺骨と一緒に供養されるため、遺骨を後から引き取ったり移動したりすることができません。

また、位牌型の納骨堂は、遺骨が保管されている場所に入ることができない施設もあります。そのため、遺骨を前にして参拝できないことがあります。

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まとめ

納骨堂は、一般的な従来のお墓に比べて、費用面や管理面、通いやすさなどの面でメリットがあります。永代供養墓のように合葬ではないので、個別の納骨スペースを確保でき、一般的なお墓よりも手軽に、しっかりと供養できることも魅力でしょう。

しかし、参拝場所が他の参拝者と共用の場所だったり、屋内の納骨堂のほとんどでは火気厳禁なので、お線香をあげることができなかったりなど、抵抗がある方もいらっしゃるようです。また、昔ながらの石のお墓にこだわりがある方もおられます。

まずは、従来からのお墓も選択肢に入れながら、家族や親戚など関係者でじっくり話し合って、皆さんが納得できるお墓を選ぶようにしましょう。 このページがあなたにとって最適なお墓を選ぶお手伝いになれば嬉しいです。

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 参考記事:

shuukatsu-junbi.hatenablog.com  

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