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ライフスタイルの変化などで急増している「墓じまい」のやり方。手続きや作業はどうする。

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少子化や核家族化によりお墓を継承する人がいない、高齢になりお墓参りが大変になった、お墓のある場所が遠くてなかなか行かれないなどの理由でお墓参りが途絶えてしまうことが社会問題になっています。「将来、代々の墓が無縁墓になってしまうのではないか」と心配されて「墓じまい」を考えている方も少なくないでしょう。

神戸市が2015年に実施したアンケートでは、墓を持つ人のうち約11%が「継承者がいない」、約14%が「将来、子や孫に負担させたくない」と回答。少なくとも4人に1人は「墓じまい」を検討しているようです。

2018年4月には、「NHKクローズアップ現代+」でも急増する墓じまいとして放送されました。

急増する“墓じまい” 新たな弔いの形とは - NHK クローズアップ現代+

今回は、ライフスタイルの変化などで急増している「墓じまい」に伴うさまざまな手続きや作業について説明します。

墓じまいとは、遺骨の引っ越し

「墓じまい」とは、現在のお墓を撤去して更地に戻し、お寺や墓地の管理者に敷地を返し、遺骨を他の墓地に移転、あるいは永代供養墓地に改葬することを指します。つまり、遺骨が収まっていたお墓を「しまう」ことになります。

この際、お墓に安置されている「遺骨をどこに引っ越しさせるか」が一番の問題となります。

また、お墓は遺された人々の心のよりどころでもあるということを忘れないで下さい。墓じまいとは、単に遺骨を別の場所に移すだけの作業ではなくて、遺された人々の想いも一緒に別の場所へ移す作業ともいえるでしょう。

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墓じまいのあと遺骨をどのように供養するか

墓じまいが遺骨の引っ越しだとすれば、手続きを始める前に転居先(引っ越し先)を決める必要があります。墓じまいをする理由にもよりますが、身内で墓の継承者がいなくなる可能性がある場合は、将来的に費用がかからない方法を選んだほうがよいでしょう。

永代供養(合祀・合葬)する

墓じまい後の遺骨の行き先で一番多いのが公営墓地への改葬や合祀(合葬)で、次が菩提寺での永代供養となっています。これらを合わせるとほぼ6割にもなり、半数以上の人が遺骨の移動先に永代供養を選んでいる実態があります。

墓じまいは、将来に渡ってお墓を維持できないことから行うものです。その点、永代供養は最初に費用がかかるだけで、その後の費用は発生しない、将来にわたり寺院や霊園が承継者に代わって供養や管理をしてくれる、遺された人は永代供養の場所へお墓参りできるというのが選ばれる主な理由でしょう。

散骨する

近年広がりを見せているのが散骨です。意外ですが、現在では約3割の人が墓じまいのあとに散骨を選んでいるようです。散骨も永代供養と同じく遺骨を永久に手放すことができ、将来的に費用がかかることがありません。

しかし、散骨はお墓が残らないので、お参りする場がなくなります。心のより所を無くしてしまい後悔する場合もあるようです。散骨をする前にしっかりと検討することをおすすめします。

納骨堂・手元供養する

他の人の遺骨と混ざるのに抵抗があり、近くで供養したいと思う場合の選択肢が、納骨堂や手元供養です。

納骨堂は永代供養料だけでなく年間の維持管理費がかかるため、遺骨を納めて終わりというわけにはいきません。子供に負担をかけたくないと納骨堂を選んだものの、思わぬところで費用がかかってしまい、結局維持できなくなったという話も聞きます。

一方、手元供養は遺族の裁量で供養でき、費用もあまりかからない方法として近年注目が集まっています。

ただし、納骨堂も手元供養も供養する人がいなくなったときに、残された遺骨をどうするかを考える必要があることを忘れないようにしましょう。

墓じまいの手順と手続き

 お墓にある遺骨をどのようにするか決定したら、墓じまいに向かって作業を進めましょう。

親戚の同意を得る

墓じまいで一番多いといわれるのが、親戚間でのトラブルと言われています。お墓はもともと民法で祭祀財産(墳墓)に分類され、本来遺族が受け継ぐものと規定されています。

しかし、動産や不動産の財産とは違い、お墓には人々の想いが関わるために、関係者の同意を得ておかないと思わぬ不和や争いを生じかねません。

独断で手続きを進めるのではなく、親戚など関係する方々の想いをくみ取りながら、丁寧に話し合うことが大切です。

墓地の管理者に伝える

お墓があるお寺や霊園の管理者には、親戚の同意を得るのと平行して、墓じまいの意向を伝えておきます。親戚の同意が得られるなどの条件が整った後に、改めて墓じまいを申請します。必要書類についても用意して確認しておきましょう。

改葬許可の申請手続きを行う

墓じまいのあと、永代供養や納骨堂へ遺骨を移すときには、改葬許可申請の手続きが必要です。必要な書類は以下の3点です。

改葬許可申請書:改葬先墓地のある市区町村の役場で入手

埋葬(納骨)証明書:現在の墓地の管理者が発行

受入証明書(永代供養許可証):改葬先の管理者が発行

以上の書類を、現在のお墓がある地域の市町村役場へ提出し、改葬許可証を発行してもらいます。

改葬許可証は散骨や手元供養の場合には必要のない手続きですが、場合によっては改葬許可申請書を提出するように求められる場合があります。そのときは、申請書の改葬理由欄に「自宅供養のため」と書くとスムーズに行くでしょう。

撤去を行う石材店を決める

撤去作業を行う石材店を決めますが、まずはお墓の管理者に提携している石材店がないか尋ねてみましょう。墓地の様子がよく分かっているかどうかが、見積もりや作業にも大きく関わってくることもありますし、提携業者であれば割引も期待できるかもしれません。

また、撤去作業は費用も安くないので、提携があるなしに関わらず、2、3社の見積もりを取ってみることもおすすめします。お墓の周りに重機が入れない時は、人力での墓じまいになり費用がかさむこともあるようです。

墓じまいの作業を行う

墓じまいの前にお墓の魂抜きを行い、作業を開始してもらいます。カロートから骨壷を取り出したあと、墓石を撤去し更地に。更地にした後は、墓地の管理者に永代供養権を返却して墓じまいの作業と手続きが完了します。

なお、散骨や手元供養したり、すぐに改葬しないときには、トラブルを避けるためにも、「遺骨引き渡し証明書」を墓地管理者にもらっておきましょう。 

墓じまいの費用についての参考記事:

shuukatsu-junbi.hatenablog.com

 遺骨について

火葬場で焼かれていない遺骨や土葬の遺骨を改葬するには、再火葬が必要です。現在では火葬が一般的ですが、昭和初期まで土葬は一般的に行われていました。土葬した何年か後に骨壷に骨を集めて埋葬する場合もあったので、骨壷の中の遺骨はきちんと確認するようにしましょう。

遺骨が土などで汚れていると火葬できません。洗骨が必要になります。土に埋もれていた遺骨にはバクテリアなどが付着しているので、専門の業者に依頼するのが安全です。洗骨後、火葬許可証をもらい火葬場で焼きます。

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墓じまい後の遺骨の処理

墓じまいの後は、遺骨をあらかじめ決めた方法で供養します。

永代供養する

骨壷をきれいに洗うか、新しいものに変えてから永代供養先へ納めます。複数の遺骨を納めるときはどうすればよいか、どのような形があるか、墓じまいをする前に永代供養先に確認しておきましょう。

散骨する

散骨するには、骨を細かく粉砕する必要があります。遺骨をきれいに洗って乾燥させ、粉骨するのですが、家庭では大変なので専門業者にお願いするのが良いでしょう。

納骨堂へ移す

遺骨は、きれいに洗って乾燥させた上で殺菌します。土中の骨壷には、さまざまな菌やバクテリアがついている可能性があり、納骨堂の中でも傷んでいくこともあります。納骨堂に遺骨を納める場合、遺骨を綺麗にし乾燥させてから納めることを義務付けているところもあるようです。傷みを防ぎ、納骨堂でのトラブルを防ぐためにも、墓じまいの際には遺骨を殺菌するとよいでしょう。専門業者にお願いするのが良いでしょう。

手元供養する

家庭に取り出した遺骨を置くときは、必ず洗って乾かし殺菌します。その上できっちり閉まる新しい骨壷へ入れましょう。

永代供養や散骨する遺骨の一部を手元に遺す場合も、同様の処理をすることをおすすめします。小さな骨壷に入れるときは、遺骨を細かい粉にしてから納めます。

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まとめ 

「墓じまい」は、費用もかかりいろいろな手続きも必要ですから、十分な準備や話し合いをしながら進めることが大切です。

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