終活とは人生をより良く生きる作法

終活とは?エンディングノート・親の介護・老後の生活など、自分らしい最期を迎えるために必要なことを考えています。

「おひとりさま」こそ、もしもの時に備えた終活が必要です

身寄りのない「おひとりさま」を支える制度を活用する

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 一人暮らしをしている方を「おひとりさま」という呼び方も定着してきました。現在では、おひとりさま向けのサービスも色々あるようです。

一般的におひとりさまとしてイメージするのは、都市部に出てきた大学生や社会人といった比較的若い未婚の方をイメージしがちですが、実は仕事を定年などでリタイヤして社会の第一線から退き、老後の生活を送っている方でも、このような「おひとりさま」が少なくありません。いわゆる一人暮らしの高齢者(独居老人とも呼ばれます)の方です。

 国立社会保障・人口問題研究所の2018年推計によると、65歳以上男性の独居率は2015年の14%から2040年に20.8%になる見込み。女性は21.8%から24.5%へ。高齢男性の5人に1人、女性の4人に1人がひとり暮らしとなる見込みとなっている。

 生涯未婚、結婚したが子どもはいない、離婚、親族と交流は無いなど。このように身寄りのないおひとりさまが増える要因は様々です。だれにも看取られることなく亡くなる、いわゆる孤独死となるリスクも少なくありません。


孤独死は、発見されるまで時間がかかったり、遺品整理の問題など迷惑をかけることとなります。「おひとりさま」こそもしもの時に備えた終活が必要なのかもしれませんね。今回はそんな「おひとりさま」を支える制度を紹介したいと思います。

例えば、死亡届提出、葬儀や納骨の手続き代行、遺品整理、SNSのアカウント削除などを生前にあらかじめ頼んでおく「死後事務委任契約」という制度があります。

 死後事務委任契約とは

自分が死んだ後の財産(遺産)は、相続という形で手続きが進められます。しかし、実際には自分の 死後の手続きは、相続以外にもけっこうあります。

たとえば、葬儀の取り仕切り、公共費用の支払い、クレジットカードの解約やその他の契約の 解約など、一通りの手続きが残ることになります。

では、これらについて誰がやってくれるのでしょうか?

もちろん、家族がいれば葬儀の取り仕切りも、遺品整理も、細かい 遺産整理も家族がやってくれることでしょう。

でも、任せる家族にがいない場合や、家族はいるが高齢や体が不自由などの理由でこうした事務処理を任せることが出来ない場合などに、友人や知人、行政書士らなど信頼できると思う人を選んで、死後の事務委任契約を結び、こうした事務を行ってくれるように生前に依頼して おく方法が、死後事務委任契約という手続きです。

これは、当事者間の私的契約という扱いですので、頼む相手(受任者)とは、トラブル回避のために公正証書で法的な契約を結びます。

  

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死後事務委任契約の例 (週刊朝日 2019年2月1日号より)

「任意後見契約」など生前から結べる契約もある

死後事務委任契約は、亡くなった後の事務処理についての契約ですが、生前から結べる契約もあります。

ひとりで過ごす自分を見守ってもらう「見守り契約」、体が不自由になった場合に備えて財産管理や必要な手続きを頼む「任意代理契約」、認知症になどにより判断能力が衰えた場合の財産管理などを頼む「任意後見契約」という制度があります。契約の相手は友人や弁護士、行政書士、司法書士などになります。 

 もちろん、依頼できる家族や親族がいれば、そちらに頼んでも構いません。だれに依頼するにしても、自分が何をしてほしいかを元気なうちにしっかりと伝えられ、確実に実行してくれる人が理想的でしょう。

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生前にできる、死後の手続き10の備え (週刊朝日 2019年2月1日号より)

任意後見契約と死後事務委任契約を同時に結ぶメリット

最近、任意後見契約死後事務委任契約は同時に結ばれることが多くなってきています。

それは、当人が存命の間は任意後見制度に基づいて、任意後見人によって支援が可能な のですが、本人の死亡とともに、後見人はその本人の身の回りの事務や財産を 管理する権利を失います。

相続人がいない場合や、相続人である子供がいても、遠くで生活していて、なかなか本人の遺品整理や遺産整理を進めることが出来ない場合など、様々な事務手続きが手付かずで放置されてしまうことになってしまいます。

こうした場合に、任意後見契約に加えて死後事務委任契約まで結ばれていると、本人の 死後の財産管理から事務処理にいたるまで任意後見人が全面的に本人に関する事務代行サポートを行うことができるため、非常にスムーズに手続きを行うことができます。

任意後見契約や死後事務委任契約は親族や知人などでも可能ですが、法律的に難しい 相続の手続きまで一貫して扱うことになるので、行政書士や司法書士といった法律の専門家と契約することをお勧めします。

このように、死後事務委任契約のメリットは、任意後見契約ではカバーすることが出来ない死後の事務代行までサポートできる点です。

元気なときは、なかなか想定しづらいとは思いますが、身寄りのない「おひとりさま」であればなおさら、自分の死後のことも考えて事前に準備をしておくことをお勧めします。

 

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自治体でもさまざまな終活支援に乗り出している

身寄りのない高齢者の「おひとりさま」が増えるなか、自治体も終活支援に乗り出しているところがあります。

神奈川県横須賀市は2015年から始めた「エンディングプラン・サポート事業」もその一つです。
内容は、ひとり暮らしで身寄りがなく、月収18万円以下などの条件を満たす市民を対象にした登録制度です。市役所の職員らが、登録者に葬儀や墓、延命治療の意思などを事前に聞いて書面に残し、葬儀社と生前契約を結ぶなどを行います。

内容に違いはありますが、同様の支援制度は神奈川県大和市・綾瀬市、愛知県北名古屋市、兵庫県高砂市、千葉市などにもあります。このような支援は今後も全国に広がっていくと予想されます。

また、横須賀市では2018年5月から、「おひとりさま」だけでなく自分の死後に不安を抱く全市民を対象に、「終活情報登録(わたしの終活登録)」を始めています。これは、今は元気でも認知症などで、自分の意思を伝えられなくなるときに備え、緊急連絡先や遺言書・エンディングノートの保管場所、墓の所在地などを市に登録するしくみです。

まとめ

誰しも自分の死については積極的に考えたくはないものですが、それについて考え行動して行くのが終活です。幸い以前からすれば国の制度も整っています。今後は自治体の支援も手厚くなってくるでしょう。自分の死後の手続きについて、身寄りがある方は遺族が困らぬように、「おひとりさま」であればなおさら周囲の人が困らぬように、必要なことを考えておきましょう。

 

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